無意識に「欲しい!」を引き出す言葉の8要素と用法例

こんにちは。

コピーライターの山崎です。

お客様が文章を読んで、どうやったら買ってくれるのでしょうか。

そこには読んでみて「欲しい!」という感情が湧き上がっているかどうかが問題です。

あなたも経験したことがあるかもしれませんが、

ある商品が欲しくて欲しくてたまらなくなってしまい、それ以外のことを考えられなくなってしまう、なんていう状態になったことは過去にありませんでしたか?

そういった状態に持っていけるのが理想ですよね。

例えば水。

water

水は喉の渇きを癒してくれますよね。
人が生きていくには絶対に必要なものです。

こんな場面を想像してみてください。

ある真夏の一日。良く晴れた蒸し暑い午後。外は気温37度の炎天下。
アスファルトは肉が焼けそうな鉄板のように熱せられています。

そんな日に外回りの仕事です。額も服も汗でびちょびちょ。眩暈がしそうなほどに日差しが眩しく、喉はもうカラカラです。

そのとき目の前に、キンキンに冷やされた水を売っている自動販売機が現れました。あなたは自動販売機に入ったおいしい水を目の前にして無視できますか?

water

中には買わない人もいるでしょう。

「こんなところで水を買うくらいなら、熱中症で倒れた方がマシだ!」

と考えて本当に倒れる人もいるかもしれません。

が、多くの人は水から目を離せなくなり、思わず財布の紐を緩めるのではないでしょうか?

急いでコインを自販機に突っ込むように入れ、水をがぶ飲みしますよね。

物が欲しくて欲しくてたまらなくなる場面の一例です。

あと水なら、辛いものを食べて口の中が痛くて仕方ないときにも欲しくなる、なんてことがあります。

それも、「欲しい」という気持ちに逆らえない状態です。

こういう状態になると、人は物を手に入れずにはいられません。

誰もが絶対に逆らえない8つの生理的欲求

私たちコピーライターの間では、「ある8つの生理的欲求」を刺激できていると、反応の取りやすい文章になると言われています。

これはドルー・エリック・ホイットマン氏の著作である、「現代広告の心理技術101」というビジネス本に書かれている原則からの引用です。

これはけっこう有名な話ではあるんですが。

どんな人でも無意識的に求めており、欲求というか、人間が生きる上で絶対に欠かせない要素たちです。

それがこの8つです。

  • 生き残って人生を楽しみたい
  • 飲食をしたい
  • 危険や恐怖から逃れたい
  • 性欲を満たしたい
  • 快適に暮らしたい
  • 他人に勝ちたい
  • 大事な人を守りたい
  • 社会的に成功したい

この8つの要素は、広告を作るコピーライターたちが普段から息を吸うかのように取り入れている要素です。

逆にこれらを一切取り入れなければ、その文章からの反応は絶望的だといえるような大事なものなんですね。

一つも取り入れていない文章は、はっきり言って「つまらない文章」となってしまいます。

8つの要素を良くみていただきたいんですが、誰もが当てはまっていますよね?

「私には7つしか当てはまらないぞ!」

なんていう人は見たことがありません。

欲求の強弱はあれど、全ての人に当てはまる要素です。

ただ、いくつかの要素は被って境目が曖昧かもしれません。

例えば私に当てはめて考えるなら 、

「生き残って人生を楽しみたい」と「飲食をしたい」は、

「おいしいまぐろのお寿司をおなかいっぱい食べたい」
という欲求と被っています。

maguronoosushi

どうでもいい話かもしれませんが、まぐろだけじゃなくてサーモンも好きなので、「サーモンをお腹いっぱい食べる」、でもいいです。

samonsushi

なので欲求の境目が曖昧な場合もあるかもしれませんが、この8つの欲求を取り入れる言葉作りをすると、明らかに反応を上げることができます。

8つの欲求の簡単な解説をします

1,生き残って人生を楽しみたい

同じ生きるなら楽しく健康に生きたい。これはどんな人でも考えることですよね。

禁欲生活を送っている修行僧でさえ思っていることです。

たぶんこれが人間の欲求としては一番強いです。

全ての欲求は生きているからこそ発生するので、まずは生きることが最も優先だからです。

用法例:長生きしたい人向けの話題を想像

「人間の健康寿命は何歳が平均? 男女や地域、人種別で比べてみた」

「認知症を予防する食べもの○○選」

「○○歳になっても足腰が丈夫な人の生活習慣」

など。

2,飲食をしたい

生き残るためにじゃあどうするか? と考えたら、次はこれです。

衣食住ですよね。

その中でも、飲食は特に命に関わってくるので、二番目はこれでしょう。

場所によっては衣住も重要ですが。

例えば-28℃の猛吹雪の中、裸で放り出されたらすぐに凍死しますし、寒さから身を守る建物が無ければ同じことになります。

そういった特別な条件が無い場合は、食が優先だと考えられますね。

用法例:飲食店のメニュー名を想像

「ほどよい辛味の旨辛チキンと野菜が絶品のチーズタッカルビ!」

「シンプルな塩コショウで味付けし、切った断面から肉汁があふれ出すサーロインステーキ」

「七日七晩シェフが煮込んだ、とろ~りとろけるビーフシチュー」

など。

3,危険や恐怖から逃れたい

生き物が痛みを感じるようにできているのは、生きるためです。

最終的には1番に繋がる話なのです。

もし私たちの体が痛みを感じなければ、どんな無茶なことをやって怪我をしても痛くないので、恐怖感が薄れて無茶が出来てしまいます。

でも痛くないだけで、死亡はします。

なので怪我を恐れる人が今よりも少なく、「気付いたら死んでいた」なんていう事態が増えて、人口がどんどん減っていきますね。

危険や恐怖というのは事件や事故、災害だけでなく、スリルや幽霊やオカルトなども入ります。

けれど映画やドラマ、漫画、アニメ、ゲーム、加えて遊園地のお化け屋敷など、ホラー要素が好まれていますよね。

怖い物や危険な物からはみんな逃れたいのに。

この理論で言うと正しくありません。

なぜ怖い物を自ら求めるのでしょうか?

それは、生きていることを実感して安心したいからかもしれませんね。

「長く健康で楽しく生きたい」

その反動から、生きていることを実感するために、命の危険が無いと分かっているフィクションのホラー要素を求める。

私はそう考えています。

現にフィクションのホラー物は、そればかりを求める人がいるほどファンが多いです。刺激が強いものほどスリルを味わえて、逆に魅力があるものだということでしょうね。

ジェットコースターに好んで乗ることも同じようなものですね。

他にも、身体的な危険だけでなく、何かを失うという恐怖もここに入ります。

例えばお金や資産を失う。人を失う。信用を失うなどです。

その結果待っているのは?

社会的な死、ですよね。

用法例:資産や健全な生活を失うことを想定した恐怖を訴える場合

「年金制度の崩壊、○○政権の失脚」

「あなたに忍び寄る身近な特殊詐欺の例」

「覚醒剤があなたの脳を壊す」

など。

4,性欲を満たしたい

子孫繁栄。全ての生き物が今でも生存しているのはこの欲があるからです。

もし性欲がなかったら人間はとっくの昔に絶滅していました。

欲には現れてくる順序があり、「性欲を満たしたい」は順序としては中くらいの順序です。優先ではありません。

なぜなら生存本能の方が先にくるからです。

したがって、先述した1、2、3の方が欲望としては先に来ます。

恋愛感情はこの欲望の最初の段階になり、強くなるにしたがってはっきりとした性欲になってゆきます。

用法例:恋愛映画の広告コピーを想定

「犯罪的イケメン」

「この彼女、取扱注意」

「世界一ピュアな恋」

など

5,快適に暮らしたい

これは2の飲食したいの次にくるようなイメージの欲望です。

簡単に言えば、衣食住の「衣住」の部分に当たります。

より良い家に住みたい、より良い服が着たい。

そんな欲望です。

「快適」にはあらゆるものが含まれるので、衣住だけでなく、実際は他のあらゆるものが含まれます。

人間関係もここに当たるでしょうか?

誰だって自分にとって嫌な人と一緒に過ごしたくありませんよね。

あとは、仕事環境を改善したい。

そんな欲望もここに入るものだと考えます。

用法例:職場環境改善の話題を想定

「嫌な社員と二度と関わらなくて済む方法」

「社員のモチベーションを上げるコミュニケーション方法」

など

6,他人に勝ちたい

男女関係なくこの欲望もありますね。

特に日本の社会だとこの欲望は強めな傾向があるように感じます。

とにかく人と比べることを幼い頃から強制される国なので、嫌でもこの競争観念は身に付きます。

生まれた家系、テストの点数、友達の多さ、学歴、会社が大企業かどうか。
給料をいくらもらっているか。

そんな風にして人と比べてしまいやすいのではないでしょうか?

この欲望は承認欲求の一部のため、生存欲求よりも優先度は低くなります。

身の安全が保障された後にやってくる欲求ですね。

ちなみに、この欲求がエスカレートすると、人間関係のいじめやパワハラ、モラハラに発展します。

いじめなどを起こす人は他人に認められたい欲が強いと言えます。

誰かをいじめることによって、自分が強い存在だと認められたいからです。

SNSで自慢投稿が多い人もこの欲求が強い傾向があります。

用法例:SNSなどでの他人への煽り文

「○○をまだしていない人いる?」

「○○を手に入れました!(達成しました!)(できました!)」

など。

7,大事な人を守りたい

これは親や兄弟、子供、友達、恋人だけでなく、上司や部下、好きなアイドル、応援している相手なども含まれます。

直接的に身体の危険から守るわけではなくとも、援助することによって助けることもここに入ります。

用法例:子供を危険から守る警告文

「知らない人についていくのはやめよう」

「子供110番SOS!」

「横断歩道は右を見て左を見て、手を上げて渡ろう」

など。

8,社会的に成功したい

これは6の他人に勝ちたいと似ているようで違っています。

承認欲求の一部ですが、必ずしも誰かと競争して勝ちたいというわけではなく、自己実現もこの中に入っています。

自分で設定した目標を達成したい、などはここに入ります。

あとは、グループに所属することでの安心感を得たい、というのもここです。

人は一人だと弱い生き物なので、どこかのグループに所属したい欲というのがあります。

入ったら入ったで、別に意欲的に活動する気が無くても、です。

とりあえずどこかに入っておきたい、という欲があります。

用法例:自己啓発を勧める文章

「来年あなたがステップアップする目標の定め方」

「人生のブレを消して筋の通った生き方をするには」

など。

用法例としていくつか書きましたが、実際にコピーとして使うにはもっと考える必要があるでしょう。

ここでは「こんな風に使うんだな」というのが伝わればいいかなと思います。

実際に文章を作るときに、「この感情を刺激してみるか」と考えてから言葉を作ってみると、驚くほど結果が変わってきますよ。

ぜひお試しください。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山崎

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